公開日:2020/02/01
最終更新日:2020/02/04

どうなる『クラス1』とスーパーGT【アストンマーティンDTM撤退に寄せて】

クルマ・モータースポーツ
MOTUL AUTECH GT-R 2019

2020年1月25日、モータースポーツ界にニュースが舞い込んできました。2019年よりドイツのツーリングカーレース『DTM』に参戦していたアストンマーティン(Rモータースポーツ)がシリーズ撤退を明らかにしたのです。

DTMは、2000年のシリーズ発足(厳密にはシリーズ再開)より、毎シーズン3つの自動車メーカーが参戦し繰り広げています。2019年シーズンはBMWやアウディ、アストンマーティンの3つが競っていました。しかし、アストンマーティンの撤退により参戦メーカーと参加台数が減少の危機に瀕しているのです。

今回は、DTMと『クラス1規定』で提携するスーパーGTについて考えてみます。アストンマーティンの撤退により影響が及ぶのかどうか、『クラス1規定』は今後どうなるのか、それぞれ考えてみましょう。スーパーGTが大好きなあなたも、一緒に考えてみませんか?

アストンマーティンDTM撤退による台数減少は【クラス1規定】の危機に繋がる?

2020年1月24日、アストンマーティンのDTMチーム参戦を担当していたコンストラクター、RモータースポーツがDTMより撤退すると発表。

以下、チーム代表を務めるフロリアン・カメルダー氏のコメントより引用。

モータースポーツプログラムの再評価により、将来の新しい優先順位を設定する必要があり、DTMの関与はもはや適切ではないことが示されました。 2020年のモータースポーツプログラムに関して決定したことは、後ほど発表します。 ただし、この機会に特にデビューシーズン中のDTMでの共通の関与について、ゲルハルト・ベルガーとITR、ディーター・ガス、イェンス・マーコートに感謝します。 特に、BMWは私たちにとって非常に役立つパートナーです。

https://r-motorsport.com/r_motorsport_news

アストンマーティンは同じく2020年の1月31日に、レーシングポイントF1チームのオーナー、ローレンス・ストロール氏によって会社買収がなされ、2021年よりレーシングポイント改め、「アストンマーティンF1チーム」として再スタートが決まっています。

「将来の新しい優先順位」とは、ストロール氏の買収とF1本格参入を指していたとも考えられるでしょう。

DTMは2019年シーズン、3メーカー18台がエントリーしていましたが、その中でアストンマーティンの4台がDTMより姿を消し、参戦台数の減少の危機に直面しているのです。 現状、新規参入のメーカーやプライベートチームは名乗り出ていません。

スーパーGTにアストンマーティンDTM撤退は影響有り?

アストンマーティンのDTM撤退は、『クラス1規定』で提携を結ぶスーパーGTにも影響を与えるでしょう。

スーパーGTとDTMは、2010年より提携に向けて話し合いが始まり、2019年より本格的に両シリーズの車両ルールを統一した『クラス1規定』を採用。
同じく2019年10月はドイツ(DTMのシーズン最終戦)、11月には日本で『SuperGT×DTM交流戦』が開催され、両シリーズのマシンが会するレースが開かれた矢先でした。

以下、2019年8月に開かれた 『SuperGT×DTM交流戦』 の会見での坂東正明GTアソシエイション代表のコメントを引用します。

コストを削減しながらヨーロッパとアジアで同一の規則を作ろうという信念のもと、詳細な計画を立て、同じエンジン、同じモノコックを使用する同じルールを、という議論を進めてまいりました。やっと昨年、共通の技術規則「CLASS 1(クラス・ワン)」の完成版の公開に至り、今年からSUPER GT、DTMともに2リッター直噴ターボという同じエンジン形式でレースを行うことになりました。ここまで来る道のりは決して短く平坦なものではなく、いろいろな批評や不満も受けました。ただ我々としては、ヨーロッパと対等に戦い、モータースポーツがより振興・発展し、SUPER GTというレースがグローバル化を進められるよう信念をもってやってきました。双方ともにClass 1作成のための作業を粛々と進めてまいりました。その中でマニュファクチャラーであるメルセデスが去り、ITR会長として当初から一緒に作業を進めて来たハンス・ワーナー・アウフレヒト氏が去り、とった状況の中で後任のゲルハルト・ベルガー会長のご尽力があり、これまで続けてきた作業がやっとここで実を結んで、Class 1の完成により、今後、ヨーロッパとアジア、同じルールのもとで大きなレースを開催できることになりました。そのための第一歩を踏み出せたことを非常にうれしく思っております。

https://supergt.net/news/single/19346 「 【ITR/GTA共同記者会見】”SUPER GT×DTM 特別交流戦”の開催概要を発表 」(SuperGT.net)

9年間に及ぶ長い時間をかけてようやくこぎつけた、スーパーGTとDTMの提携が、アストンマーティンの撤退により崩れ去る恐れが出ているのです。2014年より実施されている以下の項目を主としたルールの『共通化』が、水の泡となる可能性があります。

  • 車両の左ハンドル化
  • 共通モノコックやエアロパーツの使用
  • 使用するエンジンルールの共通化

DTMの存続次第では、スーパーGTの今後に影響が及ぶ可能性はあり得るでしょう。しかし、『クラス1規定』自体についてはDTMが消滅したとしても、GTアソシエイションがルール変更を唱えなければそのままでいる可能性が高いので、影響はないと考えられます。

スーパーGTはどう歩むべきなのか?

それでは、スーパーGTは2020年以降、どう歩むべきなのでしょうか。アストンマーティンの撤退によるDTMの危機は、状況によってスーパーGTにも及ぶでしょう。

私は、以下の3つの案を提案したいと考えています。

  • 『ガラパゴス化』スーパーGTのブランド確立
  • ハイブリッドや電動化などの最新技術の導入
  • アジア圏への進出の促進

『ガラパゴス化』によるスーパーGTのブランド確立

一つ目は、スーパーGTを『ガラパゴス化』させ、日本発祥の独自のカテゴリーとして歩んでいく案です。1994年に前身の『全日本GT選手権』発足から20年以上が経過し、既に日本最高峰のモータースポーツカテゴリーとして認知されています。

現に、2019年5月に富士スピードウェイで開催された2019シーズン第2戦では、予選と決勝の2日間でのべ9万1800人を集める人気となっているのです。『クラス1規定』で統一されたGT500クラスと、FIA-GT3カーやJAF-GT、マザーシャシーのマシンで構成されたGT300クラスが混走するレースとして、日本だけでなく海外でも認知されつつあります。

DTMが仮にシリーズ消滅となった場合でも、今まで通り『クラス1規定』で500クラスのマシンを作り、レースを開催すれば何の影響もありません。日本発祥の独自カテゴリーとして歩んでいけば、何の問題もないのではないでしょうか。

ハイブリッドや電動化などの最新技術の導入

2つ目の案は、GT500クラスのハイブリッドシステム導入および電気自動車への移行です。既にGT300クラスでは、ハイブリッドシステムが装着されているマシンが参戦しています。前例を活かし、GT500クラスの車両にも採用するとメーカーの技術開発をうながしてシリーズの更なる活性化につながるのではないでしょうか。

ただし、ハイブリッドシステムや電気自動車への移行は同時に「開発コストの高騰」のデメリットを含めています。市販電気自動車が徐々に市場に出回り、『フォーミュラE』の開催や『WEC世界耐久選手権』でのトヨタチームのハイブリッドカーによる活躍など目立つ中、今後スーパーGTがどう舵をとるのか気になる所です。

アジア圏への進出の促進

3つ目の案は、スーパーGTのアジア圏進出の促進を目指す案です。

前身の全日本GT選手権時代、2000年にマレーシアのセパンで初の海外レース開催。現在はタイのチャーン・インターナショナル・サーキットでレギュラーシーズンのレースが開催されています。2020年には開催スケジュールの都合で再びマレーシアのセパンでレースが行われる予定です。

その他にもF1グランプリが開催されているシンガポールやアブダビ、バーレーンなどアジア圏から中東までまだ『市場』を開拓できる余地はあるでしょう。『クラス1規定』と、FIA-GT3カーの共通点を利用した各国のレースカテゴリーとの交流が図れるメリットがあります。

ただし、日本からの遠征コストが大きく壁となるので、今後のシリーズ人気拡大が図られない限りは難しいでしょう。『国際化』は課題の一つです。

参照:https://www.redbull.com/jp-ja/best-f1-tracks-in-asia

まとめ:スーパーGTは【一人】でもやっていける

ここまで、スーパーGTとDTMについて考えてみました。まとめとしては以下の通りです。

  • DTMが消滅しても、スーパーGTは一人立ちでやっていける
  • 『クラス1規定』を変える必要はない
  • 日本独自の『ガラパゴス』カテゴリーとしてブランドを確立すれば良し

DTMがシリーズ消滅となっても、スーパーGTに与える影響は大きくないでしょう。2018年シーズンのシリーズ観客動員数は合計38万人となっています。既に確立された人気がある中で、スーパーGTが突然のシリーズ消滅となる事態は考えにくいのです。

引用:(※1)https://supergt.net/news/single/18895

上記のまとめで述べた通り、スーパーGTはDTMがどうなろうとも【一人立ち】してモータースポーツカテゴリーの一つとして成り立ちます。2020年のスーパーGTも、今までの25年間同様盛り上がりは必至でしょう。

4月12日の開幕戦・岡山国際サーキットまであと2ヶ月。間には公式合同テストも開催されます。ぜひ、あなたも不安を吹き飛ばして、スーパーGTを一緒に盛り上げましょう!

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